ナースランナーとして走る喜び

天候:雨

当院の鈴木看護師が、今年も「ナースランナー」として横浜マラソンに参加しました。看護師としての使命感とランナーとしての情熱を融合させた、その活動についてお話を伺いました。

──ナースランナーとは、どのような活動なのでしょうか?

ナースランナーは、マラソン大会において一般ランナーに混じってコースを走りながら、体調不良のランナーをサポートする医療スタッフです。沿道の救護班とは異なり、コース上を走りながら常にランナーの様子に目を配り、必要に応じて迅速に対応します。

「最大の目的は、大会で死者を出さないこと」

と語る鈴木看護師。医師やコメディカルスタッフとチームを組み、ランナーの安全を見守りながらゴールを目指します。

──ナースランナーを志したきっかけは?

ランナー歴15年の鈴木看護師がナースランナーを志したのは、3年前のことでした。

「長年マラソンを続けてきた中で、看護師という資格を好きなマラソンと融合できたら幸せだろうと思っていました」

横浜マラソンでの活動は今年で3回目。さらに、富士山麓を160km走るウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)でも、ボランティアナースとして活動されています。

──今年の横浜マラソンはいかがでしたか?

今回の大会は、あいにくの雨模様で気温も低く、例年とは異なる課題がありました。

「例年は脱水症状を起こす方が多いのですが、今回は寒さの影響で低体温症になる方が目立ちました。体が震えて走れなくなる方や、足の痙攣で両足がつってしまう方がたくさんいました」

鈴木看護師は、こうしたランナーを見かけるたびに立ち止まり、持参していたエマージェンシーシートを提供するなど、4名のランナーをサポート。記録は5時間11分でしたが、「困っているランナーさんと一緒に過ごす時間を大切にしました」と振り返ります。

──ランナーに声をかける時に、心がけていることはありますか?

ランナーへの声かけには、細やかな配慮が必要だと言います。

「『大丈夫ですか』という声かけが、逆に負担になってしまうこともあります。まずはそっとそばに寄り、ご自身の力で大丈夫そうであれば無理には声をかけません。手を差し伸べなければいけないと判断した時だけ、『もしおせっかいでなければ、これを使ってください』という形でサポートを提供しています」

この付かず離れずの距離感は、普段の患者さんへの対応と共通するものがあると語ります。「ランナーの皆さんは、それぞれが自分と戦っている。その点は患者さんに対する姿勢と変わらないですね」

──ナースランナーとして、一番のやりがいは何ですか?

3回目の活動を終えて、鈴木看護師は大きな充実感を感じています。

スタート前に「いてくれると安心です」「心強いです」と声をかけられたり、ゴール後に「一緒に走ってくれてありがとう」と感謝されたりすることが、何よりの喜びだと言います。

また、当日初めて顔を合わせるナースランナー仲間との絆も特別なものです。「情報交換をしながら活動する中で強い一体感が生まれ、解散時には『今年も頑張ったね、また来年会おうね』と声を掛け合います。それもまた嬉しい経験でした」

──普段はどのようなトレーニングをされているのですか?

日頃は週に2、3回のトレーニングを欠かさず、10kmから30kmの距離を走っています。時間が確保できない時は、通勤時間を活用した「通勤ラン」で体力を維持しているそうです。

「看護師の仕事も走ることも大好きなので、ご縁があればこれからもナースランナーの活動を続けていきたいです。同時に、一人のマラソン選手としても頑張っていきたいと思っています」


専門職としての責任感を持ちながら、プライベートでも社会貢献活動に取り組む鈴木看護師の姿勢は、私たちにとって大きな誇りです。当院は今後も、こうした職員の活動を応援してまいります。

鈴木看護師、素晴らしい活動をありがとうございます。これからも応援しています!